文献詳細
薬剤の臨床
Syncillin(Phenoxyethyl penicillin)の基礎的並びに臨床的検討
著者: 須山康夫1 岩村昇2
所属機関: 1鳥取大学医学部産婦人科教室 2鳥取大学医学部衛生学教室
ページ範囲:P.617 - P.622
文献概要
相次ぐ抗生物質の出現は目覚しいものがあるが,現段階に於けるPenicillinの重要性は依然として去らない。Penicillinの実用化と共に合成への研究は15年の年月を経過したが,その間筋注によるPenicillin Shockの発生により,Penicillinの地位は減弱するかに見えたが,注射に比し重篤な副作用が殆んど起らず,簡易に使用出来る経口Penicillin特に合成Penicillin(Phenoxyethyl penicillin)の出現を見るに至つたのは幸である。わが国に於ても相次ぐShock問題が台頭して以来,早急にこれが必要性に迫られ,昭和31年9月にはいち早く製造が許可されると共に,昭和32年11年には日本化学療法学会東日本支部総会が開かれ,経口Penicillinに関するシンポジアムが行われたのは当然のことと云わねばならない。然して,欧米ではいち早くこれが採用され,Penicillin総使用量の40%はこの経口Penicillinによつている状態である。わが国に於いても約30%は内服が行われるようになつて来た。
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