文献詳細
薬剤の臨床
放射線及び抗癌化学療法時の白血球減少症に対する「ロイコン」(Adenin)の効果
著者: 柏倉高1 秦正夫1
所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.623 - P.632
文献概要
近年悪性腫瘍に対する放射線療法は急速な進歩を遂げ,産婦人科領域に於いても癌,絨毛上皮腫等にレントゲン深部治療,60Co照射,ラジウム照射,或いはナイトロミン,カルチノフィリン,マイトマイシン,テスパミン等の抗癌化学療法が行われているが,皮膚障碍,宿酔症状,造血臓器,血液障碍等の種々な副作用が現われ,治療の障碍となつている。この中造血臓器,血液に対する影響は重大で,速かに末梢血液中の白血球減少を来し,その血液像の変化と共に障碍の鋭敏な指針となつている。之に対して従来より種々な治療法,即ちブドウ糖,ビタミン群,肝賦活剤,自律神経遮断剤,各種のアミノ酸製剤,コバルトグリンポール,副腎皮質ホルモン等が使用されているが,かかる障碍を充分に防止し得る薬剤,方法なく,副作用特に白血球減少の為に治療を屡々中断せざるを得ない。
今回三共株式会社よりフランスのLecoqにより白血球増加作用が明かにされた,purin誘導体であるAdeninの提供を受けたので,これを悪性腫瘍患者における放射線療法,抗癌剤使用に際し白血球減少の予防及び治療に使用し,二・三の知見を得たので報告する。
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