icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科15巻7号

1961年07月発行

同人放談

官公立大学と私立大学

著者: 水野潤二1

所属機関: 1関西医科大学

ページ範囲:P.654 - P.655

文献概要

 私は国立大学で学び,公立大学に長らくいて,最近私立医大に来たものである。国立大学には学生時代から医局,大学院を通じて10年,そして公立大学には先生としてやはり10年余りいたことになる。その揚句私立医大に来たので,官公立大学と私立大学の違いというものについての印象は目下のところ最も鮮明といえよう。本欄では思うことを存分にブチマケてよいということを真に受けて,この印象を放談しようと思うのであるが,やはり限られた貴重な紙面であるから,興味は薄れるだろうが,建設的な面を談じるのが良識というものと考える。
 此の度私立大学に移るに際しては,私立医大の臨床科は営利面の比重が重くて研究面での気勢が揚らないとか,学生の粒が揃わないとか,俸給が安いとか種々の点が自他から気遣われたことは事実である。そして来て見て成る程そうした点のあることは残念ながら否定できない。しかし反面において私立大学ならではと思う様なよい点のあることも確かである。まず官公立の大学の様に国とか自治体などからの制約を受けることなく,全く大学の中だけですべてが運営されるから,自然学内の空気は和かで,そこはかとなくヒューマニズムの気配も漂い,それに50歳も半を過ぎた先生達には兎角うつとうしい存在であるらしい停年制などという制度は目下のところはなく,一応伸々としておれることは大変結構と申さねばなるまい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら