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薬剤の臨床
分娩時出血及び新生児眼底出血に及ぼす「トロスチン」の効果
著者: 高橋克幸1 村中篤1 中山千冬1 遠藤文雄1
所属機関: 1東北大学産婦人科教室
ページ範囲:P.679 - P.682
文献購入ページに移動分娩時出血は分娩の際,必然的に発来するものであるが,その量の多寡,出血傾向の有無が分娩後の母体回復に影響を及ぼす点が少くなくない。又新生児に於ては,分娩障害の最たるものは頭蓋内出血と云われ,これが精神発育に及ぼす影響については種々議論が多い。しかし,吾教室に於て眼底出血を検することによつて頭蓋内出血の程度を知り得ることにより,新生児眼底出血の意義が強調され,予防が試みられて来た。この予防のための合理的止血剤としては,止血機序の病態生理学的観点から考えて,血管内被細胞の緊張を亢め,血管壁を緊密にしてその透過性を減少させ,血液の凝固性を促進し,血小板の数的及び質的増加を来さしめる如きものが望ましい。
今回我々は,之等の目的に比較的合致し,凝血機転の上から最も基本的な,しかも強力な作用をもつ静脈用の全身性止血剤で,組織トロンボプラスチン製剤であるトロスチン(中外)を使用し,分娩時出血及び新生児眼底出血に及ぼす影響を観察したので報告する。
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