文献詳細
婦人科 外陰疾患
粉瘤に続発した両側小陰唇のFordyce氏状態の1症例
著者: 武田正美1 宮川コウ1 宮川慶吾2
所属機関: 1岩手県立中央病院産婦人科 2岩手医科大学病理学教室
ページ範囲:P.33 - P.37
文献概要
いわゆるFordyce氏状態とは3),口唇,頬粘膜あるいは乳腺,腋窩等における,毛髪を有しない独立脂腺の異常増殖症をいい,これは脂腺腫のような真性腫瘍とは異なり,以上の好発部位以外に一種の組織奇形として生理的にも陰部,とくに小陰唇に潜在することが知られている。しかしこの異常増殖状態のみでは,格別臨床的に問題とされることは少なく,同時に皮様嚢腫,粉瘤などに合併して特異な腫瘤形成を示し,皮膚科医または産婦人科医を訪れることが多く,またその組織発生が他の真性腫瘍と趣きを異にするので,古くから注目されている疾患である9)。私共は最近,肺結核加療中の36才経産婦小陰唇一側に発生した粉瘤に定型的なFordyce氏状態を合併した症例を経験し,これを切除全治せしめた後,約4カ月後に他側小陰唇に全く同様の腫瘤形成を来たし,再びこれにつき組織学的検索を兼ね,若干の考察を加えたので,その大要を報告する。
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