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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科16巻1号

1962年01月発行

産科 妊娠中毒症

"キドラ"(Chloroquine diorotate)による妊娠中毒症性蛋白尿,特にその後遺症の治療

著者: 山下徹1 山崎正義1 道又卓1 金子英一1 千葉泰男1

所属機関: 1東北大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.64 - P.67

文献概要

Ⅰ緒言
 妊娠中毒症性蛋白尿,特にその慢性化せるものの1症状として高血圧の他に蛋白尿を後遺症として認めることがある。これに対しては,従来良い治療法がなく,単にその増減を観察するか又は,高張ブドウ糖の注射などを行う程度であつた。しかるに最近,腎炎,ネフローゼ等の内科系疾患に対しACTH,Cortisone等の副腎皮質ホルモンが治療効果を有することが報告されて以来,妊娠中毒症に対しても応用される様になつて来た。即ち1950年にFarnsworthは1)2)3),糸球体腎炎にACTHを使用し,血尿等が減少し,ネフローゼ症候群にも投与して利尿や尿蛋白の減少を認めたことを報告した。これは,リウマチなどの抗原抗体反応によると思われる疾患に,ACTH,Corti—soneが,よく効いたので,やはり抗原抗体反応でおこると思われる糸球体腎炎に応用される様になつたものであろう。大島等4)は,ACTH,Cor—tisoneの糸球体腎炎に対する作用機序を糸球体の病変を改善し蛋白透過性を減少させ,血漿アルブミン値を上昇させ,この事が利尿の機序に主要な役割を演ずるとのべている。
 妊娠中毒症に対する報告としては,Frcidell等5)が副腎皮質ホルモンを用いて効果のあつたことを報告している。本邦に於いては,副腎皮質ホルモンが妊娠中毒症に対し著効のあることを報告せるものは,殆んど見当らない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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