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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科16巻10号

1962年10月発行

婦人科 婦人科領域における腫瘍・浮腫

浮腫

術後急性肺水腫—その1例を経験して

著者: 橘高祥次12

所属機関: 1東京大学産科婦人科学教室 2静岡県共立榛原総合病院産婦人科

ページ範囲:P.755 - P.761

文献概要

はじめに
 術後急性肺水腫はその殆んどが死の転帰をとるため,諸種の合併症のうちでも,特に厄介な,重篤なものの一つと考えられている。本症はその約90%が胸部手術に合併するといわれているが1),産科婦人科領域においても術中のショックのための,あるいは術中・術後の過剰輸血・輸液により,心肺血行動態の変動を起し,そのために急性肺水腫が出現するのを私たちは稀に経験することがある。私は昭和32年に,子宮頸癌手術後の患者に過剰輸液を行ない,そのために本症を発現し,その悲惨な状態に全くおののくばかりで,殆んど手の施しようもなく,ついに死亡せしめた苦い経験をもつている。その後,本症の発生病理および治療法に興味をもつていたところ,今回はからずも頸管裂傷のある子宮摘出中に,出血多量,ショックとなり,過剰な輸血・輸液により肺水腫を惹起し,ただちに気管内挿管を行ない,純酸素を51/m,13cmH2O加圧呼吸をなし,無事に救い得た1例を経験したので,その症例を報告し,併せて本症の発生病理および治療法について述べてみたいと思う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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