icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科16巻11号

1962年11月発行

産科症例 薬剤・2

降圧利尿剤Hygrotonの使用経験

著者: 関智巳1 蘇緻彬1

所属機関: 1長崎大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.881 - P.884

文献概要

まえがき
 幾多の利尿剤が出現し変遷し産科領域の妊娠中毒症の治療に貢献してきているが,未だ絶対的なものがなく,いわば対症療法の域を脱しない感があり,しかもその薬剤の有する副作用の点で応用面に種々の難があつた。しかしChlorothiazideに発したBenzothiadiazine系薬剤が使用されるようになり,かなりの利点が認められ臨床上広く賞用されてきている。私どもの長崎大学産婦人科学教室の外来診療では定期的に通院して来る妊婦に重症な中毒症の発生は比較的少なく,かつ早期の妊娠浮腫,あるいは蛋白尿の時期に適切な治療または指導がなされているためか,たまたま遭遇する重篤な例は遠地または紹介患者であることが多い。最近,Geigy研究所で合成された新スルフオンアミド系経口利尿剤のHygroton (Chlor—thalidone)=1—oxo−3(3′—Sulfamyl−4′—Chloro—phenyl)3—hydroxy-isoindolineはPhthalimi—dine核を有する点で,従来のスルフォンアミド系利尿剤と異なったものである。その構造式(第1図)が示す如く,部分的にBenzothiadiazine系剤と類似した点があり,やはりSO2NH2基を有するので炭酸脱水酵素抑制作用もある。本剤の作用機序の特徴は長期有効性を有する降圧利尿剤で,K排泄作用が割合に少ないことが報告されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら