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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科16巻12号

1962年12月発行

文献概要

綜説

ビタミンE概説

著者: 森下宗司1

所属機関: 1名古屋大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.901 - P.911

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はしがき
 ビタミンE (以下V.Eと略す)は,1922年Evans1)によつて発見され,"X"Substanceといわれ1)Sureにより"ビタミンE"と命名されるに至つた2)。その後,Evans3)はV.Eを結晶状にとり出してTocopherolと命名した。Tocoはγοηοζ (tokos)でoffspring,pherolはφε'ρω(Pherein)でto bearである。はじめは抗不妊ビタミンとして発足したが,その後,それほどの進歩もなかつた。1931年Olcott & Mattill4)が濃度の高い状態でV.Eを分離することに成功してから,研究がし易くなつたためか,再びこの研究が盛んとなつた。最近においては,抗不妊のみならずあらゆる面での研究が進み,体組織の酸化還元系に関与するほか,ある特殊な酵素系にも関係していることが推定されるようになつた。その上,生化学,有機化学の進歩と相まつてV.Eの生体にたいする役割の解明はますます拡大されてきた。さはあれ抗不妊ビタミンとして,発足され抽出されたV.Eは未だヒトにたいする抗不妊の機構の有無すら解明されていない現状である。ここにV.Eを一般的に概説し,諸賢の興味を喚起したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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