icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科16巻2号

1962年02月発行

婦人科 ホルモン療法

Estriol投与による臨床的,実験的観察の2,3について

著者: 藤井久四郎1 熊坂高弘1 助川幡夫1 尾崎純弘1 西望1 矢後謙次1 中井暲典1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.125 - P.132

文献概要

Ⅰ.緒言
 Estriol (以下ETと略記)は1930年Marian1)が妊婦尿中に同定してより,次第にその生理的意義および他のEstrogenとの代謝関係が明らかになつたが,その生物学的作用は弱く,単にEstra—diol (以下EDと略記),Estrone (以下EOと略記)の最終代謝産物でその尿中排泄型と考えられて来た。ただその容易に生体内で不活性化されないことのために内服Estrogenとしての価値は認められていたが,最近に至り,その特異な生物学的作用が再認識され,ETはEDやEOの単なる代謝産物ではないと云う考えが抬頭して来た。Overbeek & Visser (1958)2)Puck (1957)3)およびHübner (1956)4)は,腟上皮の角化作用がEDの1/100〜1/1000にすぎないが頚管上皮の増殖作用およびPAS陽性物質の出現はEDと同等の効果があると云い,Borglin (1959)5)はこれを追試して同様の成績を得て居り,又Puck (1957)6)は子宮内膜への作用が弱いから臨床的に月経困難症,腟,頚管の老人性変化および感染に用いて他のEstrogenの如く子宮出血等の副作用なしに治療し得る利点を述べている。
 われわれは,ETの生理作用の一端を究明するため,2,3の臨床実験と動物実験を試みたので,少数例ではあるがその成績について報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら