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婦人科 感染症
Erythromycinの新誘導体Propionyl ester lauryl sulfateについて
著者: 水野重光1 松田静治1
所属機関: 1順天堂大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.142 - P.146
文献購入ページに移動感染症の化学療法で耐性菌に対する治療対策は近年特に重要視されている問題点であるが,なかでもブドウ球菌(ブ菌と省略)は耐性獲得傾向が強く,これによる感染症は病状が多彩で,治療上屡々難治な症例に遭偶することが多い。従つて抗生物質の研究も専らこの方面に向けられており,耐性ブ菌に有効な新抗生物質の探求および既知抗生物質の改良が盛んに行われている。1952年にMcguire1)等によりErythromycin (EM)が発見されて以来,今日なおブ菌のEM感受性は良好であり,耐性ブ菌の治療に用いられているが,従来のEM-baseではpHの影響を受け易いため,吸収能率が悪い欠点があつた。ためにこれを除かんとして,EMの種々のEsterが研究され1958年Griffith等の合成によるErythromycinPropionate2)〜5)についてはわれわれも先にその臨床応用を試みたが6),その後最も新しい誘導体として,安定性の高いPropionyl ErythromycinLauryl Sulfateが登場するに至つた。今回われわれは再び本剤を使用する機会を得,血中濃度測定のほか,産婦人科領域において若干の臨床例に応用した成績を以下報告する。
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