文献詳細
婦人科 悪性腫瘍
中魚沼地区に於ける女性器悪性腫瘍に対する集団検診
著者: 一宮勝也1 黒坂浜郎1 中井暲典1 小倉資一郎2
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部産婦人科学教室 2水沢村国保診療所
ページ範囲:P.234 - P.236
文献概要
近年わが国の死因順位は戦前と大きく異なつて,昭和33年の統計では男女共に中枢神経系の血管損傷,悪性新生物,心臓の疾患の順位で,結核は男女共に第5位で抗結核剤の進歩と共に学童期は勿論,労働管理に於いても結核の集団検診の実施が,このように,その死亡率を低下せしめたことは疑いのないところである。
これに反して悪性新生物による死亡率は年々上昇してきているが,これは実数が増加しているものであるのか,医療の完備および医学の進歩によって以前にも同数程度存在した患者の発見数が増えたのであるのか一概には結論をくだせないが,ともかく死因の第2位を占めていることは残念なことである。特に女性器に於ける悪性新生物による死亡は女性の死亡率の42.4%を占めており,胃の21.0%,乳房の12.2%をはるかに越していることは注目に価することである。しかも,これらの悪性新生物の治療はその本態が不明であるために,現在の医療では,あくまでも早期発見,早期手術しかない現状であるから,結核に於いて全国的な範囲でみられるような集団検診が行われることが望ましいのであるが,男性に於ける胃癌の集団検診が種々な難点があるのと同様に婦人の性器癌の集団検診を実施する点については色々な問題を含んでいるだめに,その実施が困難なのは当然であろう。
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