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当帰芍薬錠(T−390 S)の婦人自律神経症に対する使用経験
著者: 長谷川直義1 宮脇法親1
所属機関: 1東北大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.398 - P.400
文献購入ページに移動従来,本邦で俗間に言われて来た「血の道」なる疾病は,今日では「婦人に見られる更年期障害類似の自律神経症候群である」と定義され,本症の発症機序はもとより,その卓れた治療法も確立され,漸く諸家の注目を浴びるようになつた。しかしながら,民間ではいまだに中将湯・さふらん湯,美宝散……などの漢方薬を常用している婦人も少くなく,之等を文字通り自家薬籠中のものとすることによつて,或るものは軽快し,或るものは効果の上らぬまま常用しているのが見られる。事実,本症の有効な治療法の中には,例えば臍帯埋没療法やいわゆる薬草類などがあつて,今日尚奏効機序の明らかでないまま,しかも難治な症例に起死回生の効果を示したという経験も少くない。かかる事実の科学的解明には強く興味をそそるものである。
今回,吾々は武田薬品の好意により,漢方の最古典である金匱要略中の婦人雑病篇中に記載されていて,漢方医によりよく繁用されている代表的な漢方方剤を製品化したT−390S錠(当帰芍薬錠)を婦人の自律神経症患者20例に使用する機会を得,次の結果を得たので茲に報告する。
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