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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科16巻6号

1962年06月発行

雑誌目次

産科 人卵 グラフ

人卵受精後の変化

著者: 東邦大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.417 - P.418

 不妊期間10年原発不妊患者(30才)で,両側卵管移植術を行つた際,(1961年12月20日)月経第13日目の卵胞より得た卵子を培養し.成熟させて12月22日夫の精子で受精させた。

脳波

妊産褥婦における脳波検査の臨床的価値

著者: 室岡一

ページ範囲:P.419 - P.426

1.緒言
 最近のエレクトロニックスの進歩は誠に素晴らしく,工業方面への利用は驚くばかりであるが,医学関係は生体が複雑なためか未だしの感がある。電子工学の長所は測定が正確で信頼できることにあるが,医学領域ではこの面でも充分検討を重ねないと危険である。たとえば皮膚抵抗などその例であるが,診断として用いられるためには引続いて再検査しても同一結果が得られるものでなければならない。心電図,脳波はこの点充分信頼するに足り,このため心電図の如きは著しい進歩をとげている。現今では各病院において臨床検査部門になくてはならない存在となつているが,反面脳波装置の方は余程の大病院でないと具備していない。これは一つには購入値段が尨大で入手し難いためである。しかしその価格も往時に比べればかなり低下し,脳波装置も漸次普及されるようになつた。ここに現われたもう一つの難点は脳波判読のおずらしさであつて,長い不規則な波形の連続をどう取扱つてよいかという困難さに直面するのである。多くの場合脳波学者にその判読を依頼するのであるが,その結果は波形の分析であるから,痙攣,昏睡でも伴わない限り明かな異常性は認められず,大抵は異常とも正常ともつかない曖昧な回答(境界脳波)をうるのみである。このことは脳波を一層とりつき難いものとしてその価値を低下せしめた。

帝王切開

帝王切開術後の急性肺水腫について

著者: 高見沢裕吉 ,   堀敬明 ,   藤田真 ,   大塚太一郎

ページ範囲:P.429 - P.432

 昭和25年米国のDr.Saleladが来日し近代麻酔法を紹介して以来,わが国でも循環麻酔が急速に発達した。而し一方気管内麻酔の普及と共に麻酔に伴う各種合併症も問題となつてきている。この合併症の中極めて重篤なものとして術後急性肺水腫があげられる。術後急性肺水腫は心肺手術の場合には時に之を併発する事が知られているが,それ以外の全身麻酔を施せる手術中に肺水腫を起す例は極めて稀である。この本態については不明の点が多く,その死亡率も極めて高い。われわれは今迄に1,000例の全麻を行い,その中帝王切開術を施行せるもの115例あるが,この中術語の急性肺水腫2例を経験したのでここに報告し,御批判を受け且反省したいと思う。

分娩

アリナミンF錠の分娩時使用経験

著者: 森新太郎 ,   石井フジヱ

ページ範囲:P.433 - P.434

緒言
 R.L.Schudは大量のビタミンB1(以下VB1と略す)の投与は陣痛を強め,分娩時間を短縮すると共に産痛を軽減すると述べ,欧米では既に多くの追加があり又わが国でも安武氏,関口氏,最近では渡辺,宮崎両氏により分娩時産痛軽減の目的でアリナミン使用の報告がある。アリナミン使用を産痛軽減のみの目的で使用した際,その成績の判定は難かしい点があると思われるにも拘らず,渡辺,宮崎両氏は極めて詳細なる研究の結果総有効率73%と報告されている。われわれはこのたび武田薬品工業株式会社より新VB1製剤アリナミンF錠の提供を受けたので,これを分娩時に使用し非常に有利な成績を得たので報告する。

座談会

新生児外科について

著者: 安藤畫一 ,   小林隆 ,   伝田俊男 ,   長谷川敏雄 ,   松本淳 ,   若林修

ページ範囲:P.436 - P.452

 安藤(司会) それでは開会いたします。今日の座談会は臨床婦人科・産科の編集同人の希望によつて開いたのであります。先月の編集会議で,何か新しい方面の座談会を,産婦人科以外の諸君によつて催していただきたいという希望が出ましたので,結局いろいろ談合の結果最近外科方面が非常にこまかくわかれてきて,そのうちで,われわれ産婦人科に直接の関係のある新生児小児の外科というのが,目立つて発展してきたということを,われわれは知つているのでありまして,これを今日の題材にして,その道の専門の諸君をお招きしてお話をしていただきたいということが出たのであります。そこで,今日お集まりの日大の外科の若林教授,東大の整形の松本講師,それから慶応の外科の伝田講師の3君にお願いして,小児外科と申しますか,あるいは新生児外科と申しますのか知りませんが,新生児あるいは小児の外科に関する新しいところを,一つお話をしていただきたいというのが今日の座談会の目的であります。実は私は少し前からこの方面に興味をもつて,まあここに来られている伝田君らにも教えられて,いくらかこの方面に関心をもつている関係で,私が司会者になりまして,諸君らにお話しをしていただくことになりましたわけであります。今日私が計画したのは,そこに掲示してありますような内容の別表で,皆さんにお話しを進めていただければよくわかるんじやないか,こう思いましたのであります。それが今日の座談会を催したいきさつであります。

新生児

新生児の先天性横隔膜ヘルニアについて

著者: 古谷博 ,   星合久司 ,   堀口貞夫 ,   藤井仁 ,   町田純一

ページ範囲:P.455 - P.460

緒言
 小児期,新生児期の横隔膜ヘルニアは,それ程稀な疾患ではなく,しかもこれに対して外科的処置が適切に行われればその予後は著しく良好となるものである1)。本症については我が国でも今日までに多くの報告があるが,そのうち生後1年以内の症例は池田2),星野3)等が総括しているように20数例に過ぎず,そのうち最も小さい児の治験例は生後9日4)のものである。
 本症の治療にあたつて,その予後をよくするためには早期診断,早期手術が最も大切であることはいうまでもない。しかるに従来の報告が主に小児科及び外科側より行われているものが多いことが示すように,産科医によつて看過されていたために診断,治療がやや遅れている症例が多かつたきらいがあつた。したがつて本症の早期診断を下すためには,生後直ちに新生児に接する産科医が本症が稀れにしかないとはいえ,広く新生児の外科的疾患に対しても関心をもち,新生児の診察に当つて常にこれを念頭に入れておく必要があると思われる。

婦人科 卵管検査

描写式子宮卵管通気曲線に及ぼす自律神経遮断剤の効果

著者: 坂倉啓夫 ,   小国美種 ,   落合寛 ,   秋元浩 ,   瀬尾道次 ,   大木洋一

ページ範囲:P.463 - P.471

Ⅰ.緒言
 現在行われている卵管疏通検査法としては描写式卵管通気法,子宮卵管造影法(盲目撮影法,連続撮影法,ギネコグラフィー,映画法),通水法(色素通水法),順行性検査法(油,Au198,澱粉),等種々の検査法があるが,何れも一長一短があり,唯一種類,1回だけの検査で疏通性が正常であるとか,卵管閉鎖しているとかを判定する事は大きな誤ちを犯す原因となる。まして疏通性があつても障害があると考えられる場合にも卵管の癒着又は狭窄によると一言で判定する事も困難である。数種類の検査法から綜合的に判定すべきである事は私共が以前から強調している事である。殊に通気法による疏通障害が器質的変化によるものか,機能的影響によるものかを決定する事は甚だ困難である。機能的なものであればその原因を追求して,治療し妊娠成立せしめる事は従来行なわれていなかつた事であり興味ある事である。
 卵管筋殊に,卵管間質部筋層の痙攣性収縮により卵管に機能的閉鎖が起る事は,Rubin1)をはじめ多くの学者の承認する所である。

化学療法

産婦人科におけるSpiramycinの臨床研究

著者: 水野重光 ,   松田静治 ,   中村猪三郎 ,   吉川健次郎 ,   堀江勤

ページ範囲:P.472 - P.477

まえがき
 抗菌性抗生物質の発達に伴い産婦人科領域においても各種感染症の治療は容易になつたが,然し一方では抗生物質の繁用による耐性菌の増加が著しく,殊に耐生ブドウ菌感染症は臨床上重大な問題を提起している。従つてこれ等耐性ブドウ球菌(以下ブ菌と略)に有効な抗生物質の研究が現在化学療法界の切実な課題となつており,Erythro—mycin (EM)2)3),Oleandomycin (OM)1),Novobiocin (NB)等一連の抗生物質が登場している。茲に述べるSpiramycinもこれと同系統のもので,1954年フランスの土壌から分離されたStreptomyces ambofaciensより産生された抗生物質である。
 今回吾々は本剤を用いて感受性試験,血中濃度測定等の2,3の基礎的実験を行うとともに,産婦人科領域の各種感染症に臨床応用を試みたので以下その成績を発表する。

境界領域 癌

癌と内分泌—その1

著者: 渋沢喜守雄

ページ範囲:P.479 - P.486

はしがき
 ステロイドホルモンを中心とした癌と内分泌の実験や臨床観察は,産婦人科の領域においても外科の領域においても,実に多い。癌と内分泌というと,どうしてもステロイドホルモンが先ず前景に出てくるのは,したがつて当然のことでもあろう。しかし,まだ開拓は十分に深くないが,ステロイドホルモンと直接関係をもたない諸問題も,この方面に沢山あるようである。ここでは,産婦人科領域と外科領域とに共通する,そうした問題をあげて一臨床外科医の卑見をのべ,産婦人科各位識者の御教示を仰ぎたい。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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69巻6号(2015年6月発行)

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69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

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