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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科16巻8号

1962年08月発行

産科 胎盤

綜説

胎盤における物質交換—胎盤の生理

著者: 山口竜二1 奥田宜弘1 姉歯皎1 石田寛1 中野盛夫1 森塚威次郎1 早川澄夫1 青葉久夫1 道又卓1 橋本光雄1 鬼怒川博久1 五十嵐彰1

所属機関: 1東北大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.623 - P.633

文献概要

はじめに
 胎盤は母体と胎児の間に存在して胎児の発育にとつて不可欠必須の器官であることは周知の事実である。胎盤の機能を要約すれば,生体最大の内分泌器官であると共にまた胎児の肺,腎,肝,消化管の機能をも兼ね備えている。しかしながら胎盤が胎児のために果す仕事の個々をとり上げてみると決してすべてが解明されているのではなく,むしろ未知の部分が大半を占めるといつて過言ではないであろう。そしてこれら未知の分野の究明はそれ自体細胞を単位とした生命の本質につながるものである。われわれが本稿において取り上げるのは極めて広汎な胎盤の生理機能のうち,極く限られた一部ではあるかもしれないが,おそらく胎盤の有する最も重要な機能と思われる物質交換についてわれわれの見解を述べると共に文献的に現在の研究状況を紹介したいと思う。
 胎盤の物質通過機序は現在まで知られている所では3つの形式に大別される。即ち第1に物理的拡散による移動,第2は拡散では説明できない能動輸送(active transport),第3に前2者とは全く異つた生物学的物質輸送である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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