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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科16巻9号

1962年09月発行

文献概要

産科 子宮収縮剤・2

子宮収縮剤「パルタン」注射液の使用経験

著者: 塩見勉三1 馬場武松1

所属機関: 1武蔵野赤十字病院産婦人科

ページ範囲:P.681 - P.685

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緒言
 我々産科に携さわる者としては,弛緩性出血を極力なくし,出産に伴なう失血を少なくして,母体の産褥経過を順調に終らしめたいと常に念願している。第3期並びに分娩後期の出血の原因のうち我々が屡々遭遇するものは,胎盤娩出前の出血には,膣,頚管裂傷または側切開等の創傷よりの出血と一部胎盤の剥離面よりの出血があり,次で胎盤娩出時の出血には,所謂胎盤後血腫があり,これは子宮の収縮状態或いは胎盤の剥離状態に影響される。更に続いて分娩後の出血は,子宮の収縮の良否或いは附属物の残留などによるものが多い。
 我々は膣,頚管裂傷及び側切開よりの出血は,適切な処置によって出血量を最低限に抑えることができるし,頚管裂傷の発生は極めて稀である。更に子宮面よりの出血に対しては子宮収縮を促進する方法によつて,弛緩性出血を予防することができる。しかして最も有効に薬剤の効力を発揮させるには,注射の時期がかなりの意義を持つているもので,適切な時期の注射により第3期並びに後期の出血量の軽減と胎盤娩出時間の短縮を期待しうると共に,産褥の経過をも順調に進め得るものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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