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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科17巻1号

1963年01月発行

文献概要

綜説

胞状奇胎の臨床

著者: 高尾直良1

所属機関: 1長崎大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.11 - P.17

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はしがき
 産婦人科領域の悪性腫瘍として頸癌の研究は最近ますます発展の一途をたどつているが,卵巣癌,肉腫,奇胎,絨毛上皮腫に関する研究に対してはいささか関心が薄い感じがしないでもない。特に絨毛上皮腫は早期に致命的な転移を起しその悪性度においては子宮癌の比ではない。幸か不幸か絨腫発生にはその前に妊娠という条件がつく。従つて観点を転じて考えてみると癌や肉腫の発生に較べると或る程度その発生を予防できるのではないかと思われる。絨毛上皮腫の先行妊娠のうちで奇胎の占める率は大きく教室例でも自見7)の報告によると43%をしめている。従つて絨腫予防の第一歩として奇胎の臨床をよく把握しておく必要がある。もちろん,奇胎以外の正常妊娠や異常妊娠のあとにも絨腫の発生は起り得るので,臨床家としては正常,異常の区別なく妊娠中はもとより妊娠終了後もafter careに充分注意を向けなければならない。主として診断,治療,術後管理について綜説したいと思う。なお今日組織分類上また名称の点でも異論の多いChorioadenoma destru—ensについても述べることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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