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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科17巻1号

1963年01月発行

境界領域

癌と内分泌—そのⅣ—癌と糖尿病

著者: 渋沢喜守雄

ページ範囲:P.47 - P.57

文献概要

はしがき
 前回のべられたように,ある種の臓器の癌は肥満者に発生しやすい傾向がある。たとえば,胆嚢癌・膵癌・乳癌などは外科領域で経験されるところである。産婦人科領域では子宮体部癌がそうであると聞いている(前号)。その他の臓器の癌でも,肥満者に多く,また,肥満者では癌の発育が良好であるという説が少なくない。肥満者に何故にある種の癌が好発するかはもちろん明らかでない。Tannenbaumの長年月にわたる研究の成績でも,本邦の宮地(1961)の成績でも,カロリーの過剰の摂取という点のみが,目下のところ,唯ひとつの連関因子といわれているにすぎない。発育癌における肥満の意義を,臨床的に分析することは決して容易ではない。前回は,代謝率を考慮すべく,甲状腺機能をうかがい,ある種の癌において,軽度の甲状腺機能障害のしばしば見出されることを指摘した。また,婦人科専門家にはすでに周知のところであるが,肥満者にはestrogensの代謝異常がみられやすいようである。たとえば,Twombly (1961)によれば,estradiol−17β—16C14注射後12時間の尿に排泄される放射能総量は,体重150ポンド以下の婦人22名平均68%,体重150〜240ポンドの婦人30名平均56%で,この両者の差は有意であるといわれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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