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研究 Clinical Research
新生児のRespiratory Distress Syndrome
著者: 室岡一1 加藤友久1
所属機関: 1日本医科大学附属病院産婦人科
ページ範囲:P.783 - P.788
文献購入ページに移動新生児の呼吸系疾患は,Potterの分類などから知られているように,新生児死亡の重要な原因の一つにあげられている。呼吸系の症状はこの意味から臨床上重要視しなければならないが,さらに大切なことは,単に肺合併症のみでなく,ほかの疾患の場合でもそれが重篤な経過をとると必らず呼吸症状を現わしてくることである。たとえば,頭蓋内出血,感染症,重症黄疸などの場合不定呼吸,無呼吸などみられるのはその良い例である。最近治療の進歩とともに新生児死亡も年とともに減少してゆく傾向がみられるが,ひとり呼吸系の合併による死亡は,減少していない。抗生物質の発達と産科手技の進歩は,感染症と頭蓋内出血を激減せしめたが,肺合併症と先天性奇形による新生児死亡は,依然として従来の状態と少しも変らないから,これらに対する対策を考えなければならない。このうち奇形は,新生児外科の発達によりある程度の治療がなされるがやむをえぬものであり,むしろ改善例の多い呼吸系合併への対策が,重要なのである。このため新生児,とくに未熟児に対する呼吸生理学の解明が,数多くなされてきた。新生児は,出産後しばしば呼吸障害を起こし,ことに,未熟児となると独特な呼吸障害を来してその予後が悪く,死亡例では,病理解剖的に種々な肺所見がみられている。
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