文献詳細
文献概要
日常診療メモ・ⅩⅣ
鉗子術の実用性について—高年初産婦の骨盤位分娩への応用
著者: 清水直太郎1
所属機関: 1九大温研産婦人科
ページ範囲:P.807 - P.812
文献購入ページに移動 鉗子術については,前回の日常診療メモ【ⅩⅢ】(臨婦産第15巻第3号)に出口鉗子術を中心にして述べたが,鉗子術はその用途が帝王切開術の安全性増大と,操作が簡単で特別の技術を要することが少なく,しかも,安全性の大きい吸引遂娩術の急速な普及とによつて,最近著しく狭められた感があるので,鉗子術は実際にどの程度活用するのが適当であるかを検討してみる必要がある。
鉗子術は,周知の適応と要約とに準拠して用いられることはいうまでもない。その適応は成書にあげられている通りであるが,要するに母児の一方または,両方に迫つた危険が,急速分娩で除去出来る総ての場合である。そのうち実地上最も多いのは,分娩の著しい遷延と児心音の継続的悪化である。この場合,要約として胎児が生存し,軟産道が児頭との間に大さの不均衡がなく,子宮口が充分開大した状態にあり,児頭がある程度下降していわゆる鉗子適位にあること,即ち児頭の最大周囲が骨盤入口以下にあり,したがつて児頭の先進部は少なくとも坐骨棘間線Linea interspi—nalisの直上ないし下方にあることが必要である。児頭の第2廻旋が,正常に行なわれている限りでは,内診により矢状縫合の走向,泉門の位置をしることは,児頭の骨盤内進入の程度をしるのに役立つ。これによれば鉗子術は矢状縫合が斜径ないし縦径に一致しているときに行なうべきである。
鉗子術は,周知の適応と要約とに準拠して用いられることはいうまでもない。その適応は成書にあげられている通りであるが,要するに母児の一方または,両方に迫つた危険が,急速分娩で除去出来る総ての場合である。そのうち実地上最も多いのは,分娩の著しい遷延と児心音の継続的悪化である。この場合,要約として胎児が生存し,軟産道が児頭との間に大さの不均衡がなく,子宮口が充分開大した状態にあり,児頭がある程度下降していわゆる鉗子適位にあること,即ち児頭の最大周囲が骨盤入口以下にあり,したがつて児頭の先進部は少なくとも坐骨棘間線Linea interspi—nalisの直上ないし下方にあることが必要である。児頭の第2廻旋が,正常に行なわれている限りでは,内診により矢状縫合の走向,泉門の位置をしることは,児頭の骨盤内進入の程度をしるのに役立つ。これによれば鉗子術は矢状縫合が斜径ないし縦径に一致しているときに行なうべきである。
掲載誌情報