文献詳細
文献概要
腟炎・1
ペンタマイシン,カナマイシン混合腟錠の腟トリコモナス腟炎ならびに頸管炎に対する臨床効果
著者: 赤須文男1 桑原惣隆1 酒井良一郎1 有沢信雄1 田川僖胤1
所属機関: 1金沢大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.339 - P.341
文献購入ページに移動婦人科外来治療において最も頻繁に遭遇し治療上困難を感ずるものに帯下や出血を主訴とする諸疾患があり,その主なものは腟トリコモナス腟炎,腟カンジーダ症,細菌性腟炎,頚管炎またはいわゆる腟部糜爛などであり,したがつて,臨床検査上,腟トリコモナス原虫,カンジーダ,原因菌と考えられるグラム陰性および陽性の各種の細菌,多量の白血球が認められる。陳旧会陰裂傷による陰門哆開,陳旧頚管裂傷,頚管粘膜の外飜などに病原体(主として細菌)が感染して惹起されたものがあるほか卵巣機能不全(ことにエストロゲン欠乏)などの原因にもより病原体(ことにカンジダなど)が感染して発病したものも少なくなく,その結果としていわゆる腟清浄度は第3度を示すものであり,ために,内分泌性のものは難治でしかも再発する傾向が強い。これらの疾病に対し従来,種々の腟錠が目的に応じ使用され,中でも抗生物質の応用は治療上大きな意義を有している。
今日一般に用いられているものはすなわち,トリコマイシン,オーレオマイシン,アクロマイシン,テラマイシン,クロラムフェニコール,ロイコマイシンなどを含有する腟錠である。これらの腟錠を長期間使用する場合,使用された抗生剤に対する抵抗性を病原体がえて来ることがあり,事実,長期間通院患者中に自覚症状の改善がなかなか得られず,また,病原体の消失を認め得ない例もあつて,これにより強い感受性を有する新抗生剤の使用が望まれるわけである。
掲載誌情報