icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科17巻6号

1963年06月発行

文献概要

研究

血中癌細胞の実験的追求

著者: 井槌進1 八木幹夫1 清永明格1 相浦昭彦1

所属機関: 1九州大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.459 - P.465

文献購入ページに移動
はじめに
 癌細胞が癌患者の流血中に遊離している事実は,1869年Aschworth1)が末期癌患者の血液の単純塗抹標本中に偶然癌細胞と思われる異型細胞を発見して以来,Schleip2)(1906),Ashoff3)(1906),Ward4)(1906),Marcus5)(1919)らによつて散発的に報告されてきた。しかし,流血中の癌細胞の検索に関する系統的な研究を始めて行なったのはPool & Dunlop6)(1934)であり,この問題が注目され,大きな関心の的になつたのは1955年En—gell7)が詳細な研究を発表して以後のことである。
 もちろん,今日の癌細胞診にも限界があり,流血中の癌細胞の同定に関してもなお問題が残されているが,癌患者の流血中に癌細胞が出現しているということは,その後の諸家の報告から,現在ではほとんど明らかなこととされている。しかし,癌細胞が血管中をかなり早期から循環しているものの,癌の血行性転移は少なくとも早期癌においては稀である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?