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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科17巻6号

1963年06月発行

文献概要

臨床 新生児・3

抗Rh0抗体による第1回妊娠児にみられた激烈な新生児赤芽球症の1例

著者: 一宮勝也1 田中寿一1 吉田種臣1

所属機関: 1東京医科歯科大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.506 - P.508

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はしがき
 1940年Landsteier & WienerがRh因子を新しい血液型群として取り入れてから,この応用範囲は広く医学界の各領域にわたつた。
 産婦人科領域では新生児赤芽球症やABO式血液型適合輸血の際の事故の解明に役立つた。なかでも新生児赤芽球症は,それまでは原因不明で全く治療方法が見当らなかつたために,これの解明は多くの不幸な児を救うことができるようになり,産婦人科領域においては,一大福音となつたのである。欧米ではRh0因子陰性の者の頻度が比較的高率(約16%)であるために200例の新生児に1例の赤芽球症を認めるといわれているほどなので,産科外来においては妊娠の始めに夫婦間のRh因子の検査が施行されていると聞いている。これに反して我が国においては,RhO因子陰性の頻度は.極く低く約0.6%程度であるために,RhO因子による新生児赤芽球症は比較的に稀であるのと,抗Rh血清が高価なために,産科外来において,充分に,本検査が行なわれていない現状である。しかし,Rh抗体は自然抗体でなく,免疫抗体であるが故に,初回妊娠分娩の児はほとんど軽度の黄疸に溜り治療を必要としないのが普通であるが,今回,われわれは初回の妊娠分娩で激烈な核黄疸を惹起して,不幸な転帰をとつた新生児赤芽球症の1例に遭遇したので,ここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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