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PROPOSAL
『アンケート・分娩予定日超過の取扱いについて(16巻12号,17巻1号)』を読んで
著者: 藤井久四郎1
所属機関: 1東京医科歯科大学
ページ範囲:P.543 - P.544
文献購入ページに移動 産科についても臨床の実際はむずかしいものであるという感想をこのアンケートを読んだときにも抱かざるをえない。妊娠,分娩という動物界の自然現象は極めて巧妙に組立てられているものと思われ,今日までの人智をもってしてはまだ解けない謎の方がはるかに多いのであろう。
予定日超過がどの程度であれば非生理的であると老えるかについても意見は一致していない。人工授精で出発した妊娠に於ても在胎期間に変動があるのであるから,最終月経の第1日や推定排卵日の初日をもって起算した場合に更に変動があるのは当然のことであるが,多くの考えるところは自然分娩の統計的分布から,予定日後の約2週間は正常妊娠持読の範囲と見做している。したがつて問題は約2週間を超過した場合に更に自然分娩の発来を待つか,または人工的に陣痛を誘発して分娩を終らせる方針をとるかにあり,臨床に従事する医師の意見はそれぞれの失敗の経験から甚だしく区々である。それは理論的の根拠の乏しい現在の産科学の問題としてはむしろ当然のことであると思われる。
予定日超過がどの程度であれば非生理的であると老えるかについても意見は一致していない。人工授精で出発した妊娠に於ても在胎期間に変動があるのであるから,最終月経の第1日や推定排卵日の初日をもって起算した場合に更に変動があるのは当然のことであるが,多くの考えるところは自然分娩の統計的分布から,予定日後の約2週間は正常妊娠持読の範囲と見做している。したがつて問題は約2週間を超過した場合に更に自然分娩の発来を待つか,または人工的に陣痛を誘発して分娩を終らせる方針をとるかにあり,臨床に従事する医師の意見はそれぞれの失敗の経験から甚だしく区々である。それは理論的の根拠の乏しい現在の産科学の問題としてはむしろ当然のことであると思われる。
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