文献詳細
研究 Clinical Research
長期に亘りfollow-upを行なつた子宮内膜腺癌の1例
著者: 木下佐1 西井啓二2 桝田和子2
所属機関: 1東邦大学医学部産婦人科教室 2東邦大学医学部病理学教室
ページ範囲:P.643 - P.651
文献概要
子宮内膜における限局性の異型的腺性増殖はatypical proliferation (Novak),adenomatousあるいはcarcinoid hyperplasiaまたはcarci—noma in situ (Speert)などの名をもつて呼ばれており,その内膜癌との相関性についてはMeyer7),Ewing2),Novak and Yui10),Corscanden1),Speert15),Hertig and Sommers4)およびSchro—der13)らによつて種々言われてきたが,上記のごとき腺性増殖が内膜癌へ発展するpotentialityを有することはその頻度はともかく,一般に認められてきたところである。しかして一般には良性と考えられているこの種の腺性増殖を内膜腺癌,とくにその成熟型より区別することは,小内膜掻爬片をもつてする病理組織学的診断にさいしてはきわめて困難なことがあり,良性の増殖を悪性に,悪性のものを良性と診断することも少なくない。もちろん明確なる深部浸潤,遠隔転移の徴があれば論外であるが,然らざるさいの判定についてはわれわれはなお数多くの疑惑から完全に解放されたわけでない。
掲載誌情報