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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻11号

1964年11月発行

文献概要

綜説 産婦人科領域における肝障害

妊娠中毒症と肝機能障害

著者: 足高善雄1 清水克彦1 竹村喬1 小川真琴1 三浦捷一1

所属機関: 1大阪大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.843 - P.848

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はじめに
 妊婦中毒症はその主徴としての浮腫,蛋白尿,高血圧の臨床症状からみて,腎が主役をなすと考えられ易いので,子癇・子癇前症などでは形態学的にも肝に明らかな病変があるにもかかわらず,一般には妊娠中毒症では肝は腎程には重視されずにいることが多いが,妊娠時の肝との関係はHe—pathopathia gravidarumとして古くより注目せられていた。特に妊娠中毒症時の肝障害についてはその機能面や形態面よりいろいろの方法により研究されている。しかし肝機能の障害はすべての症例にみられるわけでもなく,また肝機能障害が妊娠中毒症の予後を左右するか否かはその障害の程度によることはいうまでもない。このように妊娠中毒症における肝障害の意義についてはなお疑問の点もあって今後の研究にまたねばならないが,現在迄に知られている妊娠中毒症と肝障害の関係について,自験例をまじえて文献的にこれを整理し,日頃多忙な臨床医家の診療の一助にも資したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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