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臨床婦人科産科18巻11号

1964年11月発行

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卵巣卒中

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ページ範囲:P.848 - P.848

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Abel, K.P.:Ovarian apoplexy Lancet 7325:136-137, Jan.18, 1964
 卵胞嚢胞または黄体嚢胞から腹腔内に大出血をおこすことはまれでないが,どういうものか精しい報告がない。著者はここに5例の自験をあげて注目している。第1例21才で2子の母,12時間つづく右下腹痛・悪心・排尿障害で入院。開腹するに600ccの血液あり,右卵巣嚢胞破裂のため。第2例31才,1子の母,下腹痛8時間で来院,激痛・嘔吐でショック。右卵巣黄体嚢胞破裂で血液120cc,同時に化膿性虫垂炎合併。第3例35才,2子の母,流産1回,突然臍部痛はじまり増悪し,腹壁緊張,開腹1200cc血液,黄体破裂のため。第4例29才,2子あり,腹部全般の疼痛10時間つづき入院。開腹,600ccの血液,右黄体破裂。第5例14才少女,臍部痛1日つづき来院。悪心嘔吐なく排尿困難あり。右黄体破裂で500ccの出血。以上5例すべて経過良好。またすべて1ヵ月または数ヵ月前に同様の腹痛発作あり,ふつう疼痛は臍下にあり,悪心嘔吐より排尿障害の方が主訴である。この点が怒垂炎との鑑別点になる。腹壁緊張の度より腹痛がつよい。両骨盤側に疼痛あり。腸運動はむしろ亢進する。この3点も虫垂炎との鑑別に役だつ。また多くは無熱。長く時間がたつと,腹部膨満し,腸運動減弱し,イレウス症状になつてゆく。外妊との鑑別は,本症に月経があること,腟出血なきこと,Douglas窩に圧痛なきことなど。本症に開腹の適応は腹痛の程度で,卵巣は剔除せず,縫合しておくのがよい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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