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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻2号

1964年02月発行

特集 新生児の研究と臨床--第1回新生児研究会シンポジウム

—第1回新生児研究会—巻頭言

著者: 九嶋勝司1

所属機関: 1東北大学

ページ範囲:P.93 - P.93

文献概要

 新生児は小児科に入院すれば一人前の入院料を必要とするが産科にいるかぎり病児でも入院料がいらない。これは新生児は母体の附帯的存在であるという概念に発していると思う。新生児がこのような不当な取扱いを受けている理由は保険側の無理解のみにあるとはいわれないようである。新生児は母体の側におけば自然に育つてゆくものであるという態度をとつてきたのは他ならぬ過去の産科医であつたのではあるまいか。小児科は正常児さえも病児のような扱かい方をする傾向があつたのに対し,産科では病児さえも正常児なみの取扱かいをすることがなかつたであろうか。それほどでなくとも,新生児は小さすぎて,診ても判りにくく,反応力も弱いから病像も大人のように明確ではないから,けつきよく見ても仕方がないのだという諦観があつたことは否定できまい。小児科方面で未熟児に関する研究が熱心に行なわれるようになつたのに刺激されてか,ここ2〜3年来,本邦産科学界においても新生児に関する関心が急速に高まつてきた。昨年8月,第1回新生児研究会を開催したところ,炎暑の候にもかかわらず,集るもの500余名という大盛会だつたことも,この辺の情勢を反映したものであろう。
 新生児研究の最大の難関は検査物の採取困難とたとえ採取しても検査に充分な量が得られぬことにあつた。しかるに,微量定量法の進歩は次第に新生児から採取した試料でも測定が可能になりつつある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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