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特集 新生児の研究と臨床--第1回新生児研究会シンポジウム 薬物中毒
抗結核剤の胎児に及ぼす影響
著者: 藤森速水1 山田文夫1 渋川登1 豊田長久1 岡部秀年1 篠崎輝男1 渡辺和夫1
所属機関: 1大阪市立大学医学部産婦人科
ページ範囲:P.116 - P.118
文献購入ページに移動まずストレプトマイシン(SM)について,その濃度定量法は,鳥居,川上氏重層法を採用した。まず胎児への影響をみるためSMの胎児への移行を検討した。臍動静脈血清中に出現し,注射後3時間前後において最高値に達し,満期分娩例においては,21.5mcg/cc,妊娠中期例では19.5〜17.5mcg/ccが証明されている。もちろん移行濃度は個体差も認められるが,その濃度は母血清中のそれよりもすくない。満期分娩例においては多くは母血清中最高濃度の約50〜60%,妊娠中期例においては,約20〜57%が移行している。これは薬物の影響を知る目安の一つである(第1表,第2表参照)。また臍動脈血清中SM濃度は,臍静脈のそれよりも低い値を示す。臍静脈血中に移行したSMは,その1/2〜1/3が胎児体内に分布排泄されて,再び臍動脈血を経て母体に還ることが考えられる。
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