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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻2号

1964年02月発行

文献概要

特集 新生児の研究と臨床--第1回新生児研究会シンポジウム 薬物中毒

抗結核剤の胎児に及ぼす影響

著者: 藤森速水1 山田文夫1 渋川登1 豊田長久1 岡部秀年1 篠崎輝男1 渡辺和夫1

所属機関: 1大阪市立大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.116 - P.118

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 サリドマイドによる奇形発生が問題になつて以来,特に妊娠中の薬剤服用に関しては一般につよい関心がもたれるようになつた。抗結核剤の胎児に及ぼす影響に関しては,私どもの教室ではすでに十余年前よりいろいろ研究発表して現在にいたつているが,今日は抗結核剤の中で,ストレプトマイシン,カナマイシンの2つを採りあげ,妊娠に及ぼす影響については省略し,胎児に及ぼす影響にしぼつて,その基礎的,臨床的実験のあらましを以下に報告する。
 まずストレプトマイシン(SM)について,その濃度定量法は,鳥居,川上氏重層法を採用した。まず胎児への影響をみるためSMの胎児への移行を検討した。臍動静脈血清中に出現し,注射後3時間前後において最高値に達し,満期分娩例においては,21.5mcg/cc,妊娠中期例では19.5〜17.5mcg/ccが証明されている。もちろん移行濃度は個体差も認められるが,その濃度は母血清中のそれよりもすくない。満期分娩例においては多くは母血清中最高濃度の約50〜60%,妊娠中期例においては,約20〜57%が移行している。これは薬物の影響を知る目安の一つである(第1表,第2表参照)。また臍動脈血清中SM濃度は,臍静脈のそれよりも低い値を示す。臍静脈血中に移行したSMは,その1/2〜1/3が胎児体内に分布排泄されて,再び臍動脈血を経て母体に還ることが考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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