文献詳細
文献概要
泌尿器周辺の疾患 薬剤 膀胱炎
女子膀胱頸部炎と治療
著者: 古沢太郎1 平竹康祐1
所属機関: 1京都第二赤十字病院泌尿器科
ページ範囲:P.205 - P.210
文献購入ページに移動 主として成人女子において,懸命な治療にもかかわらず種々の膀胱刺戟症状が消失しないまま,難治な膀胱炎あるいは膀胱神経症と取扱われやすいものの中に,いわゆるirritable bladderなどと称せられる尿道・膀胱頚部あるいは膀胱三角部の頑固な炎症に由来するものの少なくないことはJohnson, Hvnner, RenerおよびSpenceらの記載以来多数の報告が見られ,すでに成書にも述べられておる。しかしながら他科領域におけると同様に,今日では明らかに純粋な心因性と考えられる膀胱神経症も確かに漸増の傾向を見せているが,ややそれらの診断を安易かつ簡単に附している風潮も否定できない。ことに情緒的にも男子におけるよりも複雑な女子においては自覚症状の訴え方もなかなか複雑で,その病状の把握にも困難があるとはいえ,周到かつ綿密な検査を怠つたために自ら治療上墓穴を掘るような結果となる場合も少なくない。
元来,女子の下部尿路は男子に比して,解剖学的にも生理学的にも極めて感染の機会も多く,かつ異つた経過をとることは周知の如くである。例えばDeterらは成人女子の39%に慢性尿道炎を認めたといい,またHeymannらは女子剖検例の95−100%に膀胱頚部および膀胱三角部の炎症性変化を認めたといつておる。
元来,女子の下部尿路は男子に比して,解剖学的にも生理学的にも極めて感染の機会も多く,かつ異つた経過をとることは周知の如くである。例えばDeterらは成人女子の39%に慢性尿道炎を認めたといい,またHeymannらは女子剖検例の95−100%に膀胱頚部および膀胱三角部の炎症性変化を認めたといつておる。
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