icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻4号

1964年04月発行

PROPOSAL

老化と産婦人科—老化阻止研究の困難性と重要性

著者: 鈴木雅洲1

所属機関: 1新潟大学

ページ範囲:P.254 - P.256

文献概要

 今さらいうまでもないが,最近における医学の急速な発達により,人類の平均寿命が年々延長していることは,まことに喜こぶべきことである。しかし,これは,診療を中心とする臨床医学の発達のため,および疾病の予防医学の向上に由来するためであつて,老化防止についてはなんらの対策もない,といつても過言ではないであろう。従つて,平均寿命の将来の延長見透しも,ある程度までゆけば止まることが予想される。生命を永久につづけたいという願望は,今も昔も変ることがなく,人類の最も大きな本能の一つであろう。これを達成するには,老化防止医学以外に目的をとげる手段はない。しかし,数多くの研究が行なわれているにもかかわらず,当分のあいだ老化を医学的に防止することは至難中の至難といわなければならない現況である。さらに,別の面から考えれば,老人年齢層の増加により,社会の活動力の低下が起る。治療医学の発達により,人類の活動年限の延長は起るであろうが,それにしても,前記の事実を否定することはできない。ここにもまた,老化防止医学の研究の重要さがある。当分のあいだ望めないことではあるが,老化防止法が完成すれば,社会から老人層が消えてなくなる。しかしてすべての人が,活動力のある青壮年層に停まるであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら