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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻4号

1964年04月発行

文献概要

研究 胎盤係数

胎盤係数(Placental coefficients)の臨床的意義

著者: 吉田啓治1

所属機関: 1東京医科大学産婦人科教室

ページ範囲:P.257 - P.266

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はしがき
 胎児の体重に関する発表はこれまで多くなされているにかかわらず,胎盤重量についてのそれはいたつて少ない。たとえば本邦での長谷川・加来・三谷らの成書をみても,正常平均胎盤重量はすべて500gであり,胎盤と児の重さの比は1:6で,これを生理的範囲と考えてよいとのみ記載してあるが,果してその通りであろうか。Hertigによれば臍帯や卵膜をつけたままの胎盤では平均重量は450-500gであり,正常胎盤と胎児との重さの比は1:6.35から1:7.9となるといつているが,この点で特にGruenwaldやLittleらは臍帯や卵膜を含んでの胎盤重量の測定はこれらの付属物の重さにはなはだ変動があり誤差をきたしやすいので,臍帯や卵膜を取り除いたあとの胎盤実質を測定すべきであると強調しており,私どももこのような胎盤実質だけの測定方法によって胎盤重量の測定を行なってきたが、成書の記載と大いに差異がありもう一度再検討の必要を痛感してきた。それだけでなく胎盤は妊娠週期の進むにつれて重さを増すのかそれとも児の体重に比例して重くなるのかという簡単な疑問も氷解されていない。そのために児と胎盤との相互的な発育関係を知る必要からまず児と胎盤との重さの割合である胎盤係数(Placental coefficients)を指標としてあげ,それに臨床的な意義を見出すことができればいろいろな点で好都合となる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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