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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻4号

1964年04月発行

研究 前置胎盤と失血

前置胎盤と未熟児貧血

著者: 中嶋唯夫1 畑山道子1 鈴木博1

所属機関: 1日本赤十字社産院

ページ範囲:P.267 - P.272

文献概要

はしがき
 われわれはさきに前置胎盤合併にさいして,従来からの統計的観察を参考にいろいろの検討を行なつたが1),まず第1に産科学のみならず医学全領域にわたつての向上,発達にもかかわらずしばしば満期に至らないで分娩を終了する場合があり,また在胎期間相応の児の生下時体重より明らかに劣つた体重を示し,いわゆる未熟児の体重に相当する胎児を娩出する傾向が大であり,この中のあるものは母体の安全のために実施される諸手術,遂娩術の犠牲となることが認められ,またたとえ帝王切開術を行なつたものでも児の予後は悪く,かつ戦前に比しわずかに予後の改善が認められるに過ぎない。死産児も多く,未熟児の頻度も高いが,この未熟児群も同じ生下時体重群の死亡率よりいちじるしく不良である。そこで児の失血を検討したところ出生直後から著明な貧血症状のしばしばみられることを認め,W. StoeckelやW. Zangemeisterらによつてすでに指摘され,その後K. Heising2)によつても強調された事実とも一致し,W. Stoeckelの指摘を直接耳にし久慈院長も久しくこの点をわれわれに教示されていたところであるので,改めて未熟児に著明である生理的とさえ考えられる出生後の未熟児貧血を当院のデータを下に検討し,前置胎盤合併の未熟児を中心に比較検討し,さらに分娩前後の児の失血について考察してみたいと考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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