文献詳細
研究 新生児室管理
新生児室管理上の一課題—特に湿度の年日変化から
著者: 安武豊志男1 高橋泰二2
所属機関: 1日本鋼管病院産婦人科 2日本鋼管病院健康管理室
ページ範囲:P.293 - P.299
文献概要
胎生期は栄養,呼吸,循環,排泄作用に於いて静的発育系と考えることができる。大気環境から遮断され,母体の体液変動と運命を共にする閉鎖環境であり,羊水中という温・湿度については恒常環境にある。いわゆるEverest環境という低酸素状態にあつて高度の代謝が行われている。児は娩出されるや,全く異つた可変開放環境に一変し,胎生現象において生理的なものが非生理的になり,気中生活系への機能的調整,適応など,短時日に平衡状態に達する,すなわち新生児はその大変動期における発育系として把握される。Foramen ovale, Duc—tus Arantii, Ductus Botalliの閉鎖による血行の変化,胎児性血色素を有する胎生赤血球の崩壊などは気中生活への適応と進化を示すphylogenetic miniatureとも考えられる。従つて新生児の諸器管が激変的に調整さられ,milieuに適応する安定した自律性を獲得するまで,なお恒常的な大気環境の下に養護するのを理想的とするが,全地表面的な気候環境と社会的経済的文化的生活環境と環境衛生的観点との間には大きなcrevasseが存在する。
典型的季節風気候である日本各地点における平均気温と湿度を引用してみると第1表の通りである。
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