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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻5号

1964年05月発行

MY THERAPY in series・21

産褥乳腺炎の治療

著者: 松田静治1

所属機関: 1順天堂大学

ページ範囲:P.389 - P.389

文献概要

 乳腺の炎症で産婦人科外来を訪れる患者は決して少なくなく,従来授乳婦人におこる産褥乳腺炎は治癒し難い疾患の一つとされている。本症は細菌感染によるものであるが,その発生には細菌の侵入を助長するようないろいろの先行条件が存在し,たとえば授乳時乳頭部に外傷が加わりやすいこと,乳汁が細菌繁殖に適した良き培地となる点,さらに乳汁の欝滞などが挙げられる。発病も産褥第3週から4週にかけて起こるものが多い(私の経験でも産褥1ヵ月以内のもの70〜80%)ので,退院後暫くして再び来院してくるものが多い。本症の診断は通常容易であるが,化膿しはじめると熱型は弛張し悪寒をくりかえす。さらに発赤腫脹が増張し中心部が軟化してくる。
 ここで私どもが行なっている治療法を紹介すると,基本的な方針として炎症が速やかに消散する場合ほど哺乳能力はよく維持されるから,第一に罹患乳房の哺乳,マッサージを禁じ,湿布,提乳帯を施こし,可及的早期に強力な化学療法を開始している。乳腺炎でも発病初期であれば,化学療法(抗生物質の内服,筋注)に合成オキシトシン鼻腔内噴霧あるいはα—キモトリプシン(抗炎症酵素)の注射を併用している。オキシトシンを用いる時は2〜5単位(シントシノン)を1日1回患者の鼻腔内に噴霧することにより,乳汁分泌が促進され,3〜4日後には炎症々状の軽快と乳汁滞貿の改善がみられるようになる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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