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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻6号

1964年06月発行

文献概要

日常診療メモ・XVII

尿管損傷(瘻)の診療について(その1)

著者: 清水直太郎1

所属機関: 1九州大学温研産婦人科

ページ範囲:P.467 - P.471

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 婦人科の腹式または腟式手術時に,たまたま尿管を障害する危険は極めて大きい。その尿管障害には挫傷,結紮,一部ないし全部の切創などの直接的損傷と,尿管の栄養血管障害により壊死をおこす間接的のものとがある。これらは子宮筋腫(ことに頚部筋腫)のとき,附属器腫瘍(ことに炎症性腫瘍で癒着が強いもの,および広皺襞内発育で尿管が変位しているもの)のとき,尿管重複のとき,子宮癌等悪性腫瘍の広汎剔除術のときなどにおこりやすい。なかでも好発するのは広汎性子宮全剔除術のときで,子宮頚部からの尿管遊離にともなう尿管被膜の損傷,周囲組織の結紮による尿管屈折,狭窄によるものである。尿管損傷の結果はいろいろで,腎の萎縮(これは全く無症状のことがある),腎水腫,腎膿腫,尿管瘻および無尿(両側のとき)などである。
 尿管損傷の好発部位は次の4ヵ所である。(1)大骨盤血管との交叉部:卵巣提挙靱帯を結紮切断のときに損傷する場合である。(2)卵巣窩部:癒着附属器腫瘤手術のときに多い。(3)子宮頚〜腟旁結合織部:子宮動脈の集束結紮のときにおこりやすい。(4)膀胱部:膀胱剥離のときにみる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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