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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科18巻9号

1964年09月発行

文献概要

特集 子宮癌診療を検討する

5 子宮癌の早期診断の周辺—癌診断の第一歩は常に癌を疑うことにはじまる

著者: 藤原敏郎1

所属機関: 1前:京都大学

ページ範囲:P.684 - P.687

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はじめに
 子宮癌の診断には早期発見が大切である。早期にこれを発見すればその治癒率は高く,おくれれば殆んどその治癒のみこみはない。これには医者だけでなく患者の努力も必要であるが,目の前に癌患者をおいてしかもそれを見のがすことがあればこれは医者としてゆるされない。筋腫などでは見おとしてもそれがすぐ死につながることはないが,子宮癌の初期を見のがされてその後のいかなる努力も遂にむなしく死にいたつたということはままある。しかもその末期の苦しみはきわめてはなはだしい。
 また不穏上皮,上皮化成などの診断のもとに経過を追求するうちに典型的な頚癌を発見した例や,あるいは逆に妊娠中腺癌の疑いの診断をうけたものが分娩終了後悪性の疑いをとかれる例もあることなどを考えると,癌の早期診断の必要性はいうまでもないが,もし誤診で癌治療の行なわれるようなことがあればその犠牲はまた大きく,ゆゆしい問題である。癌の診断には早期発見につとめるとともに誤診を絶対にさけねばならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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