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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科19巻2号

1965年02月発行

症例

妊娠中に確診した無脳児の1例

著者: 村上欽也1

所属機関: 1九大温研産婦人科

ページ範囲:P.143 - P.146

文献概要

はじめに
 新生児奇形のうち無脳児は比較的多く,兎唇,口蓋破裂についで頻度の高いもので,本邦においても多数の報告がある。また最近は定期的妊婦検診の普及,入院分娩の増加とともに妊娠中に診断され,人工妊娠中絶術を行なつた報告例が増加している。頭蓋上部と脳実質の一部,または全部が欠損し,頭蓋の基底面が露出して,脳質が半分残つているものが半脳症(Hemiencephalia),全部欠損しているものが無脳症(Anencephalia)であるが,一般にはこの両者を併せて半頭児,または無脳児と呼んでいる。その顔貌は特異的で,顔面がよく発育し,眼球や,舌が大きく突出し,頚部過短で,躯幹ことに肩胛部の発育が良好なことを特徴とし,一見頚部は両肩胛間に没入しているように見える。著者は最近,妊娠9カ月で他院において胎児の奇形を疑われて当科を訪れ,内外診で児頭部触知困難のため,レ撮影を行ない,ことに正確を期して前後および側方から行なった結果,無脳児と確診することができ,人工早産術を行なつた1例を経験したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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