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綜説
子宮頸癌治療における抗癌剤最近の使用機序
著者: 大谷恭一郎1 平林光司2 堀内博史2
所属機関: 1神戸掖済会病院産婦人科 2岡山大学医学部産婦人科教室
ページ範囲:P.195 - P.200
文献購入ページに移動現在における子宮頸癌治療の基本は,手術療法と放射療法であることはいうまでもない。しかしながらこれらの基本的方法のいずれか一方あるいは両者を適当に組合わせて,第1期と呼ばれる比較的初期の子宮頸癌の治療を完遂した場合においても,なお10〜20%程度の再発死亡例のある事は周知の事実である。これらの再発原因については,初期の頸癌においてもすでにリンパ節転移の存在する例の相当多いことが認められており,最近のわれわれの研究結果ではさらに頸癌の血管侵襲像の予想外に多いことが判明している。また手術操作による癌細胞の撒布や遠隔転位の可能性についても,多くの人々がこれを認めている。したがつて子宮頸癌の治癒率向上のためには局所療法としての手術療法ないし放射療法の欠点を補い,全身的に作用して完全に癌細胞を死滅させる理想的な化学療法の出現こそ万人の期待するところである。
この目的のために現在まで多数の抗癌剤が開発され,多くの臨床応用が試みられたが,残念ながら現在までのところは決定的な治療効果を示す薬剤がみられず,一部では癌の化学療法の価値を疑問視してこれを否定する者もある現状である。
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