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薬剤
いわゆる卵巣機能低下症に対する16α—Hydroxyestrone製剤の臨床応用について
著者: 赤須文男1 村田孝一1
所属機関: 1金沢大学医学部産科婦人科教室
ページ範囲:P.239 - P.242
文献概要
Estrogen (以下Eと略)に関する研究の歴史は,Allen a Doisy (1923)1)による卵胞ホルモンの発見,抽出にはじまり,約40年を経過して今日に及んでいるが,この間,高単位油液,Depot剤,合成発情物質などが作製され臨床応用されて来た。1957年Puckおよびその協同研究者2)〜5)により,従来,Estradiol (以下EDと略)の終末代謝産物と考えられていたEstriol (以下ETと略)が主として子宮頸部ならびに腟に対し,特異的に作用することが認められたのを契機として,それ迄の生物学的活性の強い天然のED−17βやEstrone(以下EOと略)に集中されていた研究の焦点は,ETの上ににわかに注がれる様になり,さらに生体内におけるE代謝とその代謝産物の意義に対する検討に改めて関心が寄せられるに到つている。これは一面には,E全体の臨床応用面にある程度のゆきづまりがあつたことにも起因していると思う。
すでにわれわれ(1960)6),7)はETが生体内に於てE全般に対するHomeostatisを保つのではなかろうかという独自の推定の下に基礎的研究ならびに臨床的検討を行つて来たが,今回,ETとほぼ同等の生物学的効果を示すという(Loraine,1957)8)16α—Hydroxyestrone製剤を臨床的に試用する機会を持ち,いささかの興味ある結果を得たので以下に記述する。
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