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特集 細胞診
婦人科細胞診における細胞同定の基準と見方
著者: 野嶽幸雄1
所属機関: 1慶応義塾大学
ページ範囲:P.349 - P.356
文献購入ページに移動はじめに
剥脱細胞学(Exfoliative Cytology)は,20年余の歴史と実用的価値に裏付けられて癌の積極的早期発見の常用検査法として普及をみたが最近ではさらに高次の意義が認識されて,DiagnosticCytologyの名称が与えられるように,剥脱細胞の全相は各種の病変を反映するものであり単に他の診断法の補助手段に止らず主導的知見の源泉となると解釈されるのである。
本法の評価は決して現状の域に止まるべきものでなくなお発展の途上にあるものと観るべきである。癌の最上の対策は,早期発見にかかることからも本法がすべての産婦人科医の自家薬籠中の物となるが望ましく,また手技の点からも決して不司能ではないであろう。本法の実際面でもっとも重要な点は,出現する各種細胞の同定に際し的確な納得のゆく基準を持ち能率的に処理することである。本稿では主として,頸癌を口標とし,LeoPold G.Koss1)またRuth M.Graham2)の優れた著書を参考として細胞同定の基準と観察の進め方につき基本的な事項に絞って記載した。附図も多分に入門的な意味を含めて作製したこと,また言及すべくして割愛せざるをえなかった点の多いことも了承されたい。文中癌細胞との記載は悪性細胞と同意語として使用した。
剥脱細胞学(Exfoliative Cytology)は,20年余の歴史と実用的価値に裏付けられて癌の積極的早期発見の常用検査法として普及をみたが最近ではさらに高次の意義が認識されて,DiagnosticCytologyの名称が与えられるように,剥脱細胞の全相は各種の病変を反映するものであり単に他の診断法の補助手段に止らず主導的知見の源泉となると解釈されるのである。
本法の評価は決して現状の域に止まるべきものでなくなお発展の途上にあるものと観るべきである。癌の最上の対策は,早期発見にかかることからも本法がすべての産婦人科医の自家薬籠中の物となるが望ましく,また手技の点からも決して不司能ではないであろう。本法の実際面でもっとも重要な点は,出現する各種細胞の同定に際し的確な納得のゆく基準を持ち能率的に処理することである。本稿では主として,頸癌を口標とし,LeoPold G.Koss1)またRuth M.Graham2)の優れた著書を参考として細胞同定の基準と観察の進め方につき基本的な事項に絞って記載した。附図も多分に入門的な意味を含めて作製したこと,また言及すべくして割愛せざるをえなかった点の多いことも了承されたい。文中癌細胞との記載は悪性細胞と同意語として使用した。
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