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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科2巻1号

1948年02月発行

雑誌目次

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「マラリア」の子宮内感染,所謂先天「マラリア」に就て

著者: 岩井正二

ページ範囲:P.1 - P.8

第1章 緒論
 「マラリア」原虫が胎盤を通過して胎兒を感染させるか否か,即ち「マラリア」が遺傳するか否かは極めて興味ある問題である。而してこの問題の解決は「マラリア」による流早死産の防止.新産兒乃至乳兒死亡率の低下等の實地方面に貢獻するのみならず,「マラリア」の免疫再發問題,更に進んで他の緒疾患の胎盤感染,一般免疫體の胎盤通過,胎兒への移行等といふ基礎的問題の解決にも寄與する所が多いと考へられる。然るに從來の文獻は單なる症例報告ばかりで,之に關する系統的な研究は全くない。茲に於て余は先天「マラリア」に關する諸問題,即ち原虫の胎盤通過性の有無,若しありとすればその頻度,之が母體「マラリア」の性質,兒の性,發育等との關係等を系統的に檢索し,更に進んでその免疫題及び傳播機序の一端を窺はうとした。

新生兒舌小帶の形態及び意義に就て

著者: 椎名晴夫

ページ範囲:P.9 - P.16

緒論
 新生兒の哺乳力,哺乳量に關する知見は比較的豐富にして,文献も亦尠からず。舌に關する形態學的研究業績も豐富なるに,新生兒舌小帶の形態學的調査並に之が舌運動又は哺乳力に及ぼす影響に關する記載は極めて少數にして,余の調査せる範圍にては之に關する詳細なる研究は見當らず。僅かに外國に於けるJaschke及びReuss等の新生兒舌小帶に關する簡單なる記載と齒科口腔領域に於ける成人舌小帶異常,即ち所謂「癒着舌」(AnkylogIossia)に關するSicher等の記載,並に成人舌小帶異常の際に於ける障害及び處置に關する症例報告を散見するに止まり,吾國に於ては新生兒舌小帶に關する記載は見當らず。
 斯くの如く新生兒に於ける舌小帶の形態學的並に臨牀的知見の比較的少數なるは,之が各科の境界領域にありて放置せられ,且新生兒哺乳が一般に醫師によりて觀察せらるゝ機會少きためならんと思はる。

授乳量より觀た乳汁分泌の臨牀的研究

著者: 桑原久

ページ範囲:P.17 - P.29

緒言
 乳汁分泌機轉に關しては,遠くギリシヤの昔より檢索が重ねられてゐるが,然も今猶神秘の域を脱しない。之を説明するものに或は神經説あり,或は内分泌學的に胎盤説,胎兒説,黄體説,卵胞ホルモン説等があるが,未だ萬人を首肯ぜしめるに足るものが無く,「乳汁分泌機轉は遂に久遠の謎なり」との感を抱かしめるに到つた。茲に於て余は專ら臨牀的に之が解決を企圖し,授乳量に立脚して各方面からその本體を衝き,大要次の如き成績を得た。
 (1)實驗材料 吾が教室で經驗せられた授乳婦,實數1189例,延數8956例で,異常の妊娠乃至分娩,合併症等を經過したものは各別個にして觀察した。又新生兒も健康なものだけを選び,人工榮養兒,體重2kg以下のもの,發熱,嘔吐等のため治療的處置を施したものは凡て除外した。

驅梅劑Arsenoxyde (Mapharsen)に就て

著者: 鹽島令儀

ページ範囲:P.30 - P.38

第1章 緒言
 Ehrlich—秦により「サルゾルサン」(以下サ劑と稱す)が驅梅療法に使用されたことは,爾後の化學療法の基礎を作り上げたと同時に人智に依り系統的實驗の根據の上に完成された最初の化學療法製劑であつた點に於て,醫學史上劃期的事實である。其後,より無毒且使用上便利な砒素化合物に對する要求は,「ネオサルヷルサン」(No.914)(以下「ネオ」劑と略稱す),「ネオ,ネオサルヷルサン」(No.1206)等の製品となつて現れ,他方一度放棄された製品に對する再試の結果はLivaditiの推奬するStovasol (No.594)の如き經口「サルヷルサン」の創製を促し,我國でもOralcid,Osvarsan等が用ひられて居る。他方梅毒に有效な砒素化合物は體内に於て酸化されて其の效力が憎強される事を證したVoegtlin,Rosenthal等の實驗に依り豫てからEhrlichによつて研究された砒素化合物のうち毒性の強いと云ふ理由で顧みられなかつたものに對し注目して居たTatum及びCooperは,遂にArsenoxydeを得た。1934年實驗家兎梅毒に於ける「ネオ」劑との比較上充分の使用價値あること,竝にその他種々の長所につき發表し,その化學構造式の頭文字を組合せてMapharsen (以下「マ」劑と略す)と命名した。

炎症性諸疾患に對する「ペニシリン」療法成績

著者: 町野碩夫 ,   鳥丸眞孝

ページ範囲:P.39 - P.41

 余等は米軍政當局の絶大なる好意に依り無償給與されたる「メルク」,「ハイデン兩會社製ペニシリン」を滅菌蒸溜水に溶解し,間歇3時間にて,毎回2萬(オックスフォード)單位,總量9乃至32萬單位を婦人科的,並に其他の炎症性諸疾患29例の臀筋内に注射し得たる成績の詳細は第1表に示すが如きも, (A)婦人科的疾患(1)産褥性5例に就き,急性肺炎を合併死亡せる1例を除き,全治4例に於ては.正常産及び遂娩術後發熱收容せる連鎖状球菌並に淋菌性の者なりしも,早きは第1回2萬單位注射後3時間にして體温40.6度より正常に復歸し,脈搏120より90至に,白血球數1.2萬より0.82萬となり,遲くとも32乃至48時間,即ち18乃至32萬單位注射後,體温,脈搏,血液所見等,略々前同様となり,中性嗜好性細胞核移動數著減し,節状核著増せる外,ヱ嗜好細胞の再現及び淋巴球の増多を認めたり。惡露の性状亦急速に好轉し,化膿菌漸次消散するに至れり。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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