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不妊症問題知見補遺男性受精能の判定について、並に男性不妊と婦人科
著者: 內保一郞1
所属機関: 1倉敷中央病院婦人科
ページ範囲:P.111 - P.116
文献購入ページに移動 第17世紀の中頃Antony van Leeuwenhoekにより顯微鏡が發明され、次でvan HammenによりSpermatozoenが發見(1671)されたがその本態は尚不明であつた。1780年Splanzaniは始めて犬に人工受胎を試みて射精液は卵を受胎させるものであることを、1824年にはPrévost及Dumosは射精液を濾過して精子のみがbefr—uchtendes Agensなることを證明し、1846年Köllikerが精子とは性上皮細胞の變化せるものに外ならぬことを明かにして以來、精液及精子に關する業績は相續きその研究は多方面に行はれてゐる。我婦人料領域に於て精液の研究は主に不妊症の對象として行はれてゐるのは當然である。Moreas (1937)は「主人の受精能を確かめざるは醫師の重大なるKunstfehlerなり」とさへ言つてゐるが、その他Moench等の強調を待つまでもなく不妊症診療上精液の檢査を先行すべきは多言を要せざる所である。然し精液の檢査方法判定方法に關しては今日尚異議なき見解に逹してゐるとは言へないし、更に精液檢査の必要性は認めても精液所見からその受精能を判定するには少からぬ困難を伴ふものである。受精力有無の斷定は直ちに不妊婦の診療を續行すべきか中止すべきかの指示を與へるものである。
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