icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科20巻1号

1966年01月発行

研究

女子副腎性Androgenと骨代謝についての一考察—北陸一地区婦人にみられる特殊疾患に関連して

著者: 西田悦郎1

所属機関: 1金沢大学医学部産科婦人科学教室

ページ範囲:P.7 - P.10

文献概要

 北陸地方のある1村落を中心とした区域にかなり特殊な疾患が,第2次大戦末期より戦後にかけて見出されている。すなわち,富山県神通川流域の一区域の,中年以降の婦人,とくに経—・多—産婦に限つて多発し,主訴は四肢や躯幹の神経痛様疼痛であり,重症なものでは,いたいいたいと苦しみながら死に至つたため俗に「イタイイタイ病」とよばれている。
 その本態は不明であるが,病理学的には骨多孔症Osteoporosisと骨軟化症Osteomalaciaの合併した病像を呈するとされ,X線学的にも同様,脊椎の彎曲・魚椎・骨盤変形・脱灰像・骨皮質菲薄化などの諸変化が認められ,血清無機燐の減少,Alkali-phosphatase値の上昇,尿中糖・蛋白出現などが認められるとされている。本症の治療には高蛋白食,高Calcium (Ca)食,Vitamin (Vit.) D投与などが有効とされ,その重症なものは現在殆ど全くみられなくなつたようであるが,このさいCaやVit. D投与が有効であつたからといつて,ただちにこれらの欠乏が本疾患の原因であると即断するわけにはいかず,一方,その土地の作物や重症患者骨中にCadmium (Cd)などの重金属が多く含まれていることその他から,何らかの重金属がその重要な原因的要素ではなかろうかともされており,その病因論は未だ確立されていない現状にある1)〜7)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら