文献詳細
特集 新生児の臨床検査
微量化学検査
著者: 大場康寛1 佐々木匡秀2 柴田進2
所属機関: 1東洋工業病院 臨床病理研究検査科 2山口県立医科大学 臨床病理学教室
ページ範囲:P.901 - P.907
文献概要
近年,臨床化学の進歩はめざましく,簡単な定性的な検査からなり複雑な検査まで日常検査として組入れられ,臨床各科の診断・治療に役立てられていることは衆知のところである。しかし,この臨床化学にも一つの大きな盲点とも称すべき隘路が存在している。それは小児ことに新生児のための臨床化学である。事実,産科あるいは小児科医より各種血清成分の測定依頼があつても,現在の臨床化学部門ではそれに対応する術をもたず,無為に終ることがしばしばである。その最大の原因は,何といつても乳幼児ことに新生児からの採血が非常に困難であることがあげられよう。たとえ採血ができても成人ほど多くは採取でき得ないし,それに加えて現在,臨床化学で広く行なわれている定量術式では,一種類の成分を測るのにその大部分は試料(主として血清)0.1〜0.5mlを必要とする1)。従つて新生児から得られる程度の血液量では,ほんの2〜3種類の血清成分が測定できるに過ぎない。すなわち,常に必要かつ十分な試料が得られないことが,新生児および小児における臨床化学検査の進展を阻止しているといつても過言でなかろう。
我々は過去数年間,これら新生児,乳幼児はもちろん,採血の困難な重症患者や肥満者に対しても十分な臨床化学的検査のサービスが可能になるような超微量定量術式の考案に努力を続けてきた。
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