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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科20巻11号

1966年11月発行

文献概要

臨床

子宮外に発生した悪性絨毛上皮腫の興味ある症例とその考察

著者: 北川司良1 横山繁樹1

所属機関: 1京都府立医科大学河村外科学教室

ページ範囲:P.917 - P.922

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はじめに
 悪性絨毛上皮腫の90%は子宮に原発するが残りは卵巣,卵管,腟,外陰あるいは肺,胸腺などに原発するといわれている。もつともその中には子宮に原発して転移を起こし,転移巣が増大するにつれて子宮の原発巣が退化消失するものもあることが考えられ,腫瘍の発生過程には,なお若干の疑問が残されているが,臨床像として子宮になんらの変化を認めない悪性絨毛上皮腫の存在することは事実である。特に胸腺においてはいわゆるprimary extragenital chorionepitheliomaが発生することが認められており,Jernstrom1)は彼の症例までにすでに43例の報告があることを記載している。したがつてこうした症例が婦人科似外の領域で取扱われることも不思議ではなく,その中でも肺,後腹膜等の転移巣が原発性悪性腫瘍と考えられて切除されたという報告はまれではない。子宮原発性の悪性絨毛上皮腫においても,死亡例の大部分−17例中16例2)—に肺転移が認められるので,こうした肺転移巣,なかんずく孤立性の腫瘍に対して肺切除が行なわれる可能性はもつとも多いと考えられる。
 悪性腫瘍の孤立性肺転移巣を切除することについてParker3)は最長11年の生存例を含む彼の7例の経験から切除はかならずしも無意味ではなく,根治はかりに不可能としてもこれら患者に対する処置として十分価値があることを強調している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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