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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科20巻12号

1966年12月発行

文献概要

特集 胎盤 その基礎と臨床

胎盤の物質通過性

著者: 鈴木雅洲1 半藤保1

所属機関: 1新潟大学医学部産婦人科教室

ページ範囲:P.959 - P.966

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総論
 1.胎盤の物質通過作用
 母児間の物質移行路として,胎盤そのものを介する径路と,羊膜,羊水を経て胎児に達する径路,あるいはその逆の径路とがあげられている。羊膜,羊水を通る径路は水と電解質について(Plentlら),またある種の抗体について(Brambell)は重要な移行径路と考えられる。しかしながら多くの物質にとつて,羊水を介しての輸送径路は比較的意義がうすいというのが現段階での考え方である。
 従来胎盤は単純な,受動的,半透過膜と考えられ,物質は主に拡散型式で通過するとされていたが,胎盤に対するこの単純な,篩様の役割という概念はより複雑な,しかしながら今日なお十分理解されていないメカニズムによることがわかつてきた。しかも胎盤はいろいろの物質の移行率を選択的にコントロールするという(Page,Dancis,Moyaら)。また胎盤の細胞は活発な代謝作用を営み,生物学的に有用なエネルギーを胎盤の輸送システムに供給している。すなわち物質輸送に対して隔壁の厚さに変化を有するほか(Amoroso),細胞の代謝活性によつて物質通過を規制している(Villee)。哺乳動物の胎盤は,動物種が異なれば胎盤に存在する細胞型,細胞の厚さ,細胞の種類,またその数に違いがある。細胞が異なればその細胞の代謝のPotentialityが変つてくるし,全体としての胎盤の機能も発達の経過とともに変つてくる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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