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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科20巻2号

1966年02月発行

日常診療メモ・24

産婦人科治療における腸管手術(その2)

著者: 清水直太郎1

所属機関: 1九州大学温研産婦人科

ページ範囲:P.124 - P.129

文献概要

IV.腸管の切除,吻合
 この両操作は外科医にとっては日常のものであるが,婦人科医も高度の癒着剥離,Endometriose,術後イレウス等の場合の大きな腸管損傷のために行なわねばならぬことがまれでないし,また腸管を利用する産婦人科手術を行なうためにも必要であり,一概に外科的手術と見做すことが出来ない。まず最も実用性の多い小腸の場合について少し経験したところを述べてみる。
 罹患腸管部の切除は腸間膜血管の結紮,切断にはじまる。切除せんとする腸管罹患部を腹壁の前にもってきて,その周りを湿した圧抵布でよく被い,感染を防ぐ。切除予定の腸管部の両端で,腸管に接してClevelandの結紮糸誘導器,またはDeschampの動脈瘤針を用いて腸間膜血管を2重結紮し,その間で切断する。腸間膜は脂肪が多いので結紮はとくに確実にしておかぬと抜ける危険があるし,また切離は中心側の結紮にあまり近くないことも必要である。この結紮糸は切らずにのこし,後述のごとく腸間膜の間隙を塞ぐときに対側の糸と結ぶのに用いる。かくして腸管の変色によつて切除する範囲が明かになるようにしておく。ついで健康な血行のよい部分で切除予定線をきめ,第11図のごとくそれをはさんでそれぞれ2つの鉗子をかける。そこから外側に腸をしごいて内容を圧排してから,少しはなれて腸鉗子(腰が軟かく,先をゴムで保護したもの)を両側にかけ,手術時に腸内容が流出するのを防ぐ。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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