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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科20巻3号

1966年03月発行

文献概要

研究

新生児仮死について

著者: 小国親久1

所属機関: 1北海道大学

ページ範囲:P.181 - P.185

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はじめに
 新生児仮死は,その一部が子宮内または娩出前の胎児切迫仮死〜仮死死亡につながつてはいる。しかし,胎児では,その経過が一応急性または慢性であるにしても,周知のように,母体・胎盤・臍帯・胎児における種々の因子が,単独にあるいは重複して,いずれもが生活環境内外の低酸素症〜無酸素症を表現しているように思われる。一方,新生児では,母体の外に出た生体であるために,胎児とは異なつてわれわれが直接目でみることのできる症候群,つまり呼吸運動の抑制・停止・チアノーゼ・筋弛緩・反射の減弱〜消失などが認められるのだが,空気呼吸の開始とその維持および母児間循環の断絶に続く児独自の循環の確立などに関する母体外生活への適応の障害の現われであり,勿論酸素欠乏・過炭酸ガス血症・呼吸性アチドージスに次ぐ代謝性アチドージス・ショックなどの状態がダイナミックに展開されて行くものであるといえよう。
 母体外に出た児は,たとえ正常な場合でもいわゆる仮死の状態が生理的?に存在しており,胎生中に培かわれている器質的・機能的な発育が,環境の変化による刺激を受けて,反射的に第1呼吸を始めさせ,仮死を自ずから解消して行くものであり,ある程度の仮死の存在が母体外生活への出発に関する要因の1つとして,意義があると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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