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臨床
先天性腸閉塞症の2例
著者: 黒川徹男1 本多正弘1 平井慶徳2 中島研郎2 大塚親哉3
所属機関: 1順天堂大学産婦人科学教室 2順天堂大学第外科学教室 3順天堂大学小児科学教室
ページ範囲:P.203 - P.206
文献購入ページに移動最近,本邦においても新生児疾患,特に外科的疾患に対する関心が高まりその重要性がさけばれているが,特に新生児に最初に接する産科医及び助産婦のこの分野における認識の向上が最も大切であることはいうまでもない。すなわちそれらの外科的疾患の早期診断の重要性を特に強調しなければならない。
新生児の内臓奇形,特に放置すれば生命の存続不可能となる様な奇形に,出生直後に大手術が施行されその成功例が続々増加しつつある現状は十数年前には想像できなかつた事であり,「最初に新生児に接するわれおれ産科医は異常を思わせる新生児を発見し適切に専門医の手に委ねるということが重要な課題となつて来る。われわれ産科医,小児科医,外科医三者の連繋を有機的に,しかも有効に実現するために三者の深い理解と特にわれわれ産科医の新生児奇形に対する理解を一層深めなければならない。新生児の先天性疾患のうち,生後放置すれば致命的となる外科的疾患は数多い。そのうちでも,1)先天性食道閉塞症,2)先天性腸閉塞症,3)鎖肛,4)先天性横隔膜ヘルニア,5)大内臓脱出症等,koopのいう五大疾患は頻度の高いものであるが,なかでも先天性腸鎖塞は鎖肛と共に比較的上位を占める疾患である。われわれは昨年一年間に,産科,小児科,外科を経た2例の先天性腸閉塞を経験したのでここに若干の考按をつけ加えて報告する。
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